浄土をあらわす極楽の金色世界の配置
阿弥陀如来を中尊とし、観音菩薩を左脇侍、勢至菩薩を右脇侍とする三尊形式です。
福圓寺本尊の阿弥陀如来さまは、平安時代おわりのころの作と伝えられており、作者不明です。
印契(いんげい)は九品来迎印(くぼんらいげいいん)浄土宗のホームページへ)という9つある来迎印のひとつを結ばれておられます。
下品上生(げぼんじょうしょう)で、如来さまに願うものすべてを救う意味をもっています。下品(げぼん)とは如来さまの御手の内をみせるかたちで右手が上向き、左手が下を向き、上生とは親指と人差し指で輪をつくる手言葉です。印の意味を簡潔にご説明しますと、右手の施無畏印から来るかたちで「安心」を表し、左手の与願印から来るかたちで如来の「慈悲」を表しています。これに上生が加わる事で「安心しなさい」「願いをかなえよう」とおっしゃっているようです。
『観無量寿経』第十二章段「下品上生とはこれ十悪の罪人なり。臨終の一念に罪滅して生ずることを得」となります。
ご本尊は昭和47年に百数十年ぶりに彩色され今に至っています。
阿弥陀如来さまの化身でもある勢至、観音の両菩薩は脇侍として本殿改築の際に仏師に刻まれた新仏です。宝冠、瓔珞、腕釧を身に付け美しいお姿でいらっしゃいます。
ご本尊の左手にいらっしゃる菩薩様が阿弥陀如来の智慧と徳を表すのが勢至菩薩 Maha-sthama-prapta Bodhisattva です。
智門を預かる智慧のきわまったその勢いは、足をひと踏みで、念にある三千世界を激しく揺るがす力を秘めています。大(マーハ)勢至(スターンマプラープタ)偉大な勢力を意味します。菩薩の応身から発する、その光明は人々の苦悩を流し清めます。合掌をされているのは来迎のお姿のためです。法然上人はこの菩薩さまの化身とも言われています。
右手におられる菩薩様が観音菩薩 Avalokiteshvara Bodhisattva です。観音様は阿弥陀如来の慈悲の徳を表しています。
その両手には往生者を迎え取るための蓮台を捧げ持っていらっしゃいます。
説明の要らぬほどに親しまれる菩薩様で、子育て観音、慈母観音、救世観音など、女性性を感じさせるその慈悲は、人の苦しみに合わせ救いとなるためにさまざまな姿に形を変える変幻自在の菩薩様です。